摘要：1986年にイタリアで生まれた運動で、ファストフード文化に対抗し、地元の伝統的な食文化や食材を守り、食の楽しみを大切にしようとする理念である。「おいしい」「きれい」「ただしい」の3つを重視し、地域固有の食材や料理法を守りながら、環境や生産者にも配慮した持続可能

01

【地域社会学】

#

スローフード [slow food]

（九州大学 人文科学府 地理学 2023）

1986年にイタリアで生まれた運動で、ファストフード文化に対抗し、地元の伝統的な食文化や食材を守り、食の楽しみを大切にしようとする理念である。「おいしい」「きれい」「ただしい」の3つを重視し、地域固有の食材や料理法を守りながら、環境や生産者にも配慮した持続可能な食を推奨している。

スローフード運動は、地産地消や生物多様性の保護、有機農業の推進にもつながっている。食べ物の背景や生産者とのつながりを意識することで、食に対する感謝や意識を高める活動である。現在、スローフード協会は世界中で活動しており、ローカルフードや伝統文化の見直しに貢献している。

02

【家族社会学】

#

内婚制と外婚制

[endogamy/exogamy]

（同志社大学 社会学研究科 社会学 2023）

内婚制とは、特定の集団や階層内で結婚相手を選ぶ婚姻形態である。同じ民族、宗教、階級、地域など、特定の社会的枠組みの中で婚姻関係を結ぶことが求められ、集団の結束や文化的アイデンティティを維持する役割を果たしている。一方、外婚制は、自らの集団外から結婚相手を選ぶ婚姻形態である。部族や氏族内での婚姻を禁じ、異なる集団と結びつくことで、血縁の偏りを防ぎ、他集団との連携や社会的ネットワークを広げる役割を持つ。

内婚制は伝統や純粋性の維持に寄与するが、遺伝的多様性が低下するリスクがある。外婚制は異文化交流を促すが、文化や価値観の違いが摩擦を生む可能性もある。

03

【社会运动】

#

選択的誘因

[selective incentives]

（名古屋大学 環境学研究科 社会学 2023）

集団行動や組織への参加を促すために提供される特定の利益や報酬のことである。参加者にとって直接的なメリットがあるため、集団の目標達成に向けた協力を引き出す効果がある。選択的誘因には、物質的な報酬（給与、物品、サービス）や社会的な報酬（地位、名誉、承認）などがある。

これにより、個人が組織や運動に参加するインセンティブが高まり、フリーライダー問題（無償で利益を得る者の存在）を抑制できる。特に、大規模な運動や利益団体では、選択的誘因が参加者を集め、維持するための重要な要素である。ただし、誘因が不十分な場合、参加者の動機が弱まり、組織の活動が停滞するリスクもある。

04

【传媒社会学】

#

デジタル•ゲリマンダリング

[digital gerrymandering]

（関西大学 社会学研究科 メディア 2023）

インターネットやSNS上で情報の流れや露出を操作し、特定の政治的•社会的利益を得ようとする行為である。従来の選挙区割りを恣意的に操作する「ゲリマンダリング」に由来し、デジタル空間における類似の操作を指す。企業や政治団体がアルゴリズムやターゲティング技術を活用し、特定の情報や広告を特定の層に集中して表示させ、他の層には見せないことで意見や投票行動を誘導する。これにより、世論の偏向や分断が生じやすくなる。

デジタル•ゲリマンダリングは透明性が低く、利用者がその操作に気づきにくいため、民主主義への脅威とされる。情報操作への監視体制やアルゴリズムの透明性向上が、対策として求められている。

05

【国际社会学】

#

ライフスタイル移住

[lifestyle migration]

（関西大学 社会学研究科 国際社会学 2024）

生活の質や価値観を重視し、自分に合ったライフスタイルを実現するために行う移住のことである。都市から地方、または国内外のさまざまな地域へ移住し、仕事や生活のバランス、自然環境、文化的背景などを考慮して新たな生活拠点を選択する。リモートワークの普及や柔軟な働き方の浸透によって、ライフスタイル移住の選択肢が広がっている。特に、ストレスの軽減、持続可能な暮らし、自己実現を求める人々に人気である。一方で、移住先の地域社会への適応や経済基盤の維持が課題となることもある。

ライフスタイル移住は、グローバル化やデジタル技術の発展に伴い、新たな社会現象として注目されている。

06

【社会阶层论】

#

社会移動の世代内移動と世代間移動

[intragenerational mobility

and intergenerational mobility]

（明治大学 文学研究科 社会学 2024）

社会移動とは、個人や集団が社会的地位や階層を移動する現象である。これには「世代内移動」と「世代間移動」の2種類が存在する。世代内移動とは、同一人物が自身の人生の中で経験する地位や職業の変化を指し、例えば、労働者が管理職になるケースが挙げられる。一方、世代間移動は、親と子の世代間で起こる地位や階層の変化を指す。例えば、親が農業従事者であっても、子が専門職に就く場合がこれに当たる。

世代内移動は個人の努力やキャリア選択に依存しやすいが、世代間移動は教育、家庭背景、社会政策など、構造的要因に大きく影響される。両者は社会の流動性や平等性を測る重要な指標である。

07

【福祉社会学】

#

優生学

[eugenics]

（関西学院大学 社会学研究科 社会学 2024）

人間の遺伝的特徴を操作•改善し、社会全体の「質」を向上させようとする思想および科学的試みである。19世紀末にフランシス•ゴルトンによって提唱され、遺伝学の知見に基づき「望ましい」特性を持つ人々の繁殖を奨励し、「望ましくない」特性を抑制しようとした。優生学はポジティブ優生学（良い特性の奨励）とネガティブ優生学（悪い特性の抑制）に分けられる。

20世紀には多くの国で優生政策が実施され、断種や結婚制限などの人権侵害が行われた。科学的根拠に乏しく、偏見や差別を助長するため、現代では非倫理的とされている。しかし、遺伝子編集技術の進展により、新たな形での優生思想の復活が懸念されている。

08

【观光社会学】

#

ダークツーリズム

[dark tourism]

（立命館大学 社会学研究科 社会学 2024）

戦争や災害、事故、虐殺など、人類の歴史における悲劇や死に関連する場所を訪れる観光の形態である。代表例には、アウシュヴィッツ強制収容所、広島の原爆ドーム、チェルノブイリ原発事故跡地などがある。これらの場所は、歴史の教訓を学び、記憶を継承するための重要な役割を果たしている。

一方で、倫理的な問題や商業化に対する批判も存在する。観光客が被害者への敬意を欠いた行動を取る場合や、悲劇がエンターテインメント化されるリスクがあるためだ。ダークツーリズムは、歴史的事実への理解を深める一方で、訪問者が適切な態度で向き合うことが求められる観光形態である。

09

【劳动社会学】

#

プラットフォーム就労

（関西大学 社会学研究科 現代社会 2023）

インターネット上のプラットフォームを介して行われる仕事の形態である。代表例として、配車サービス、デリバリー、フリーランス業務、タスク受託などが挙げられる。プラットフォーム企業は仕事の依頼者と労働者を仲介し、柔軟な働き方を提供する一方、労働者は独立請負人として扱われることが多い。そのため、従来の雇用関係による労働者保護が適用されないケースが多く、社会保障や労働条件が不安定であるという問題がある。

プラットフォーム就労は利便性と効率性を高めるが、低賃金や過酷な労働環境、アルゴリズムによる管理が課題となっている。現代の労働市場において急速に拡大している就労形態であるが、労働者の権利保護が求められている。

来源：爱锐教育